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フランス旅行はリヨン空港から始めよう

フランス旅行はリヨン空港から始めよう

リヨン空港をおすすめしたい理由をこれから説明しよう。

 

フランス旅行を考えている方に、リヨン空港をおすすめしたい理由をこれから説明しよう。

 

リヨン空港TGV駅(©ECRINS DE FRANCE)

フランス第5位の旅客数

フランスの空の玄関といえば、だれもがパリ・シャルル・ド・ゴール空港の名を挙げるだろう。たしかに、パリ・シャルル・ド・ゴール空港はロンドンのヒュースロー空港に次ぐヨーロッパ第2位の旅客数を誇り、フランス最大規模の空港だ。だが、フランスの空の玄関はそれだけではない。地方の主要都市にも国際線が発着するために整備された空港がある。リヨン空港もその一つ。2022年の旅客数は856万人、ニース、マルセイユに続いて、フランス第5位を占める(2019年は1174万人、第4位であった!)。

<2022年フランス国内空港旅客数ランキング>

第1位:パリ・シャルル・ド・ゴール空港(5748万人)
第2位:パリ・オルリー空港(2919万人)
第3位:ニース・コート・ダジュール空港(1212万人)
第4位:マルセイユ・プロヴァンス空港(915万人)
第5位:リヨン・サンテグジュペリ空港(856万人)
(出典:フランス空港連盟2022年活動報告)
 

ハブ空港としての役割を担うリヨン空港

利用者が多いということは、乗り入れする航空会社が多いということ、つまり、航空会社にとってハブ空港であるということ。さらに言えば、直行便の数が多いほど、ハブ空港としての地位が高いということ。現在、リヨン空港は世界120都市と直行便で結ばれている。地方空港としてたいしたものだ。それでは、日本の都市と直行便で結ばれているのだろうか。

答えは「ノー」だ。
残念ながら、日本の都市とリヨンを結ぶ直行便はない。

「なんだ」という声が聞こえてきそうだが、落胆するのは早い。
直行便はなくとも、ヨーロッパあるいは中東の都市を経由し、しかも、効率的な乗り継ぎ時間でリヨン空港に到着することができる。参考までに、乗継1回の便を紹介しよう。

<全日空/ルフトハンザ航空>
羽田~ミュンヘン~リヨン(16時間40分~)
羽田~フランクフルト~リヨン(18時間45分~)
関空~ミュンヘン~リヨン(17時間55分~) 

<エールフランス/KLMオランダ航空>
羽田~パリシャルルドゴール~リヨン(18時間35分~)
関空~アムステルダム~リヨン(19時間05分~) 

<日本航空/ブリティッシュエアウェイズ>
羽田~ロンドン~リヨン(16時間15分~) 

<エミレーツ航空>
羽田~ドバイ~リヨン(20時間45分~)
関空~ドバイ~リヨン(21時間40分~) 

<ターキッシュエアラインズ>
羽田~イスタンブール~リヨン(20時間15分~) 

<カタール航空>
羽田~ドーハ~リヨン(21時間05分~) 

※所要時間は目安なので、各航空会社サイトをご参照  

正式名称はリヨン・サンテクジュペリ国際空港

それでは、リヨン空港はどんな空港なのだろうか。

リヨン空港は2000年までサトラス空港と呼ばれていた。現在の名称サンテクジュペリ空港に改名されたのは2000年6月29日のこと。世界ベストセラーとなった『星の王子様』の作者、アントワンヌ・ド・サンテグジュペリの生誕100周年に当たる日だ。

サンテクジュペリは、1900年6月29日にリヨンで生まれ、飛行家となって世界中を駆け巡り、その経験をもとに、『南方郵便機』(1929)、『夜間飛行』(1931)『人間の大地』(1939)『戦う操縦士』(1942)『ある人質への手紙』(1943)など、数々の名作を残した。

リヨンは、飛行家というサンテクジュペリのメティエ(職業)に相応しい空港という場所に、彼の名を与えることでオマージュを捧げたというわけだ。リヨン人は、サンテクジュペリのニックネームからリヨン空港を「サンテクス」と親しみを込めて呼んでいる。

 

サンテグジュペリ像(©ECRINS DE FRANCE)

アントワンヌ・ド・サンテグジュペリ像

リヨン空港にアントワンヌ・ド・サンテグジュペリの像がある。
リヨンのマスコットアニマルであるライオンがサンテグジュペリの足元に寄り添い、大切そうに本を胸に抱えている。『星の王子様』の単行本であろう。
サンテクジュペリに目を向ければ、とてもスリムなボディで表現されている。実際はもう少し頑丈な体格だったと思うが、それはさておき、サンテクジュペリのボディラインは上空に向かってまっすぐに伸び、そのまま空へと飛び立ちそうな勢いだ。差し伸ばされた手の向こうに何があるのか。

 

 リヨン空港TGV駅とサンテグジュペリ像(©ECRINS DE FRANCE)  

建築美を誇るTGV鉄道駅は見学の価値あり

サンテクジュペリ像が差しているのは、リヨン空港に隣接するTGV(高速列車)専用駅だ。

鳥が両翼を広げたような外観がとても印象的だ。スペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァ(Saintiago CALATRAVA)が設計を手掛けた。ギリシャ・アテネのオリンピックスタジアムを設計した建築家だ。

 リヨン空港TGV駅(©ECRINS DE FRANCE)

駅舎内は、カラトラヴァの作品(リスボンのリエンテ駅、ダブリンのサミュエル・ベケット橋、ニューヨークのワールドトレードセンター駅など)に共通してみられる鉄骨構造が採用され、床から天井まで吹き抜けの大空間が広がっている。

 

リヨン空港TGV駅(©ECRINS DE FRANCE)

TGV(高速列車)のプラットホームは地下に設置され、写真の通路はその天井部分にあたる。全長500メートルの通路はかなたまで続くトンネルのような奥行き感があり、上方から差し込む光とその影が無機質なコンクリートに幾何学模様を映し出している。その形相は日照とともに万華鏡のように移り変わる。「この通路の向こうに何があるのだろう」と、童心に帰った好奇心が沸き立ち、実際に歩いてみると、まるで異世界に入り込んだかのような不思議な感覚を覚える。 

 リヨン空港TGV駅(©ECRINS DE FRANCE)

 天井を見上げてみよう。コンクリートフレームにガラスが張られ、自然光を取り入れる意匠が凝らされている。フィッシュボーンを彷彿させるカラトラヴァの骨格構造はため息がでるほどに美しい。そして、シンプルなのに重厚感がある空間演出。連続的なデザインによるコンクリート造形を得意とするカラトラヴァの異才が冴える。 

自然光を取り入れたターミナル1

TGV駅の廊下をぬけるとリヨン空港のターミナル1へと続く。
リヨン空港はターミナル1とターミナル2から構成されるが、現在(2023年)機能しているのはターミナル1のみ

 リヨン空港ターミナル1(©ECRINS DE FRANCE)

ターミナル1を設計したのは、ロンドンの建築事務所ロジャース・スターク・ハーバー・アンド・パートナーズ(Rogers Stirk Harbour + Partners)。建築のノーベル賞とも呼ばれるプリツカ―賞を2007年に受賞した建築家リチャード・ロジャース率いる事務所だ。リチャード・ロジャースといえば、レンゾ・ピアノと共同でパリのポンピドゥーセンターを設計したことでも知られている。

 

リヨン空港ターミナル1(©ECRINS DE FRANCE)

ターミナル1は、これぞリチャード・ロジャースの匠の技だといわんばかりに、鉄骨フレームにガラスをはめこみ、自然光を贅沢に取り込むことで、明るく開放的な雰囲気が漂い、旅人の心を高揚させる魔法の空間が演出されている。 

 リヨン空港ターミナル1(©ECRINS DE FRANCE)

荷物検査を終えて国際ゾーンへと進めば、今度は大円形の広々とした空間が旅行者を待ち受ける。天井はむき出しの鉄骨フレームが同心円を描きながら放射線状に広がっていくデザインで、まるで円盤型UFO(未確認飛行物体)ではないか。曲線と直線をダイナミックに融合させた構造の美学がそこにある。物理学者でノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏の名言、「自然は曲線を創り、人間は直線を創る」が頭をよぎっていく。

 

リヨン空港ターミナル1(©ECRINS DE FRANCE) 

地方色溢れるショッピングゾーン

リヨン空港のショッピングゾーンは、高級ブランドの化粧品や香水、お酒といった定番商品が陳列された免税店のほか、リヨンおよびその近郊の郷土品を豊富にそろえたショップが空港利用者の目を楽しませてくれる。リヨンが「食の都」として世界に名を広めていることに納得されよう。リヨン名産のソーセージやパテといった肉加工品も購入できるが、日本への持ち込みは禁止されているので帰国時には要注意!

 

 リヨン空港ターミナル1(©ECRINS DE FRANCE)  

リヨン近郊はぶどうの郷、ワインのメッカ

ワインコーナーの品揃えが豊富さもリヨン空港の魅力の一つ、それもそのはず、リヨン近郊には、ブルゴーニュジュラマコンボージョレサヴォワローヌ渓谷と銘醸ワインの産地がある。つまり、リヨンはフランスワインのメッカであり、リヨンでは、グランクリュの超高級ワインからお手頃なワインまで、予算と嗜好に適ったワインに必ず出会える(と断言できる)。

 

2020年撮影のリヨン空港ターミナル2(©ECRINS DE FRANCE)

レトロなターミナル2

ターミナル2は2020年6月から改築工事のため閉鎖中だ。2024年にリニューアルオープンとのことだが、いつものごとく、長引きそうだ。

 

2020年撮影のリヨン空港ターミナル2(©ECRINS DE FRANCE) 

ワールドエアポートアワードトップ100

ところで、利用者の視点で空港の最適さ測る空港ランキング「ワールドエアポートアワード」をご存知だろうか。

イギリスに拠点をおくKYTRAX社が1999年からスタートさせたサービスで、ターミナル間の連結、外食サービスやショッピングの充実度、セキュリティ(安全性)、WIFI環境、快適さ、乗り継ぎの便利性などを基準に空港の顧客満足度を調査し、ランキングが決定される。独立した空港品質のベンチマークとして高い評価を得ている。2023年のランキングが3月に発表されたが、リヨン空港は第98位にランキング入りした。おめでとう。 

第1位:シンガポール・チャンギ空港
第2位:ドーハ・ハマド空港
第3位:東京羽田空港
第4位:ソウル仁川空港
第5位:パリ・シャルル・ド・ゴール空港

第39位:パリ・オルリー空港

第98位:リヨン・サンテグジュペリ空港

(出典:https://www.worldairportawards.com/worlds-top-100-airports-2023/

 

 
リヨン空港搭乗ゲート(©ECRINS DE FRANCE)

これから旅立つ人、旅から帰ってきた人。毎日、数万人もの人が行き来する空港。機能性はもとより、安全性や快適性が求められる空港。手荷物検査やパスポート検査で緊張感を味わい、ショッピングゾーンやフードコートで遊び心が高められる。空港は日常と非日常をつなぐ場所。それが空港だ。

海外旅行が身近になり、空港を利用する機会が増えてきた。数時間を過ごす場所だから、居心地がよいほうがよい。居心地のよさは、設計次第だ。建築物はすべて設計にありき。

リヨン空港をおすすめしたいのは、内観・外観ともに建築美が追及され、居心地がよく、その場にいるだけで楽しくなるからだ。リヨンの観光スポットの一つに挙げてもよいかも。

百聞は一見に如かず。リヨン空港を実際にご自身の目でご覧あれ!旅の始まりはリヨン空港から。

 

マダムユキより
文・写真:マダムユキ(著作権保護により無断複写・複製は禁じられています)

 

<空港送迎サービス>
リヨン空港とリヨン市内を結ぶプライベート送迎車をご利用ください。空の長旅の後は、荷物があっても、お子様連れでも、「らくらく、安心・快適」のサービスです。深夜・早朝のフライトにも対応いたします。

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