フレンチアルプスの麓、アヌシー湖と美しい町散策

フレンチアルプスの麓、アヌシー湖と美しい町散策

フレンチアルプスの真珠、アヌシー散策

雄大なフレンチアルプスの麓、いつ来ても、アヌシーの町と湖は美しい

▼山々に囲まれ、エメラルドグリーンに輝くアヌシー湖は、ヨーロッパで一番の透明度を誇る湖

 

湖畔の町アヌシーは、「フレンチアルプスのベニス」「フレンチアルプスの真珠」とも呼ばれ、自然水に恵まれた水の都だ。

歴史を紐解けば、アヌシーはスイス、イタリアの国境に近く、古代ローマの時代、イタリアのトリノとスイスのジュネーブを結ぶ街道筋の宿場町だった。アヌシーが町として形成されていくのは、ジュネーブ伯爵の支配下で、11世紀に入ってからのこと。13世紀、ジュネーブ家が8世紀に建造されたとされるアヌシー城を改装して移り住んできてから、伯爵領として発展する。1401年、後継者に欠けたジュネーヴ家に代わって、サヴォワ家(イタリアのピエモンテを中心とする貴族なので、サヴォイア家とも呼ぶ)の支配下となり、アヌシーはサヴォワ公国の主要都市として発展を続けていくのだ。フランス革命が勃発した18世紀、サヴォワ家の統治権が奪われ、アヌシーはフランス領に編入されたジュネーブを県庁所在地とするモン・ブラン県の一部となった。それもつかの間、1815年にピエモンテのトリノを首都とするサルデーニャ王国の属することになる。1861年、イタリア王国の建国に伴い、再び、フランス領に編入され、オート・サヴォワ県の町となり現在に至っている。

このように、ジュネーブから、サヴォワ、そしてフランス領へと統治権が移行したアヌシーの町だが、アヌシーの町を歩いていると、サヴォワ公国の国旗を頻繁に目にする。アヌシーのサヴォワへの愛着からであろう。 

さて、アヌシーの町だが、12世紀の古い町並みが残る旧市街は、車の侵入が禁じられた歩行者専用地区となっている。パステルカラーの家、色とりどりの花で飾られた窓辺やティウー運河沿いは、とってもロマンチックな雰囲気で、おとぎの国のような美しさ。郷土料理を提供するレストランやお洒落なブティックが連なり、何度来ても決して飽きることがない。食事やショッピングを満喫できるのもアヌシーの魅力。また、イタリアを彷彿とさせるアーケードが多く、雨が降ったときにとても助かる!

▼ティウー運河沿い

 

アヌシーの観光スポットといえば、ティウー運河に浮かぶ軍艦のような建物で知られる「パレ・ド・リル」。12世紀に建てられ、裁判所や牢獄として使われてきた。建物が湖に向かってとがっているのは、湖から流れてくる水の圧力を分散させるため。1900年にフランスの歴史的建造物に指定され、現在は、内部が改装され、見学が可能だ。牢獄として利用された当時の様子が復元され、大変興味深い。 

▼パレ・ド・リル

 

【パレ・ド・リル(LE PALAIS DE L’ILE)】

・住所:3 Passage de l’Ile – 74000 Annecy France
・電話:+33 4 56 49 40 37
・開館日:火曜日を除く毎日
・閉館日:火曜日、11月1日、11月11日、12月24日、12月25日、1月1日
・開館時間:10月~5月 10:00-12:00 14:00-17:00、6月~9月 10:30-13:00 14:00-18:00
・感染対策:入館者数の制限あり
・入館料:大人3.80ユーロ
・サイト:http://musees.annecy.fr/Palais-de-l-Ile

 

旧市街から石畳の坂道を登って、ジュネーブ家に続いてサヴォワ家が住居として使用したアヌシー城へ。

重厚感のある角塔が、12世紀に城塞として建てられたことを物語る。

門を抜けて中庭に入ると、ルネサンス様式の領主の館がある。使用されている石の色が異なり、時代ごとに増改築された様子がうかがえる。現在は、博物館となっているが、訪問したときは火曜日だったため、残念ながら休館日。内部の見学はできなかったが、小高い丘の上に建つアヌシー城から、赤い屋根で覆われたアヌシーの町を一望する美しい景色を楽しんだ。 

▼アヌシー城

【アヌシー城博物館(MUSEE-CHATEAU D’ANNECY)】

・住所:3 Place du Château – 74000 Annecy France
・電話:+33 4 50 33 87 30 / +33 4 50 33 87 34
・開館日:火曜日を除く毎日
・閉館日:火曜日、11月1日、11月11日、12月24日、12月25日、1月1日
・開館時間:10月~5月 10:00-12:00 14:00-17:00、6月~9月 10:30-13:00 14:00-18:00
・感染対策:入館者数の制限あり
・入館料:大人5.50ユーロ
・サイト:http://musees.annecy.fr/Musee-Chateau

 

教会美術に関心がある方にお勧めなのが、サン・モーリス教会。1422年にドミニコ会派修道院の礼拝堂として建立。当時はサン・ドミニク教会と呼ばれていた。もともとサン・モーリス教会はアヌシー城の横に建てられていたのだが、崩壊してしまったため、サン・ドミニク教会をサン・モーリス教会に改名したのだ。聖モーリスはアヌシーとサヴォワの守護聖人なので、聖モーリスに捧げる教会が必要だったからという。

かつて修道院の礼拝堂であったサン・モーリス教会は、彫刻装飾のない、シンプルな正面ファサードが印象的だ。教会内に入って内陣まで進むと、左側の壁に、サヴォワ公爵とブルゴーニュ公の顧問を務めたフィリベール・ド・モント―の墓が描かれた葬祭壁画がある。15世紀半ばの作品だが、この壁画には遠近法が用いられ、だまし絵の手法で描かれてる。ルネサンス初期の作品で、奥行きを出そうとしている作者の努力がたいへん微笑ましい。

また、身廊の右手のアーチに、「祈りの捧げる聖人二人と、天使に囲まれた栄光の聖母」を表現した見事な壁画がある。16世紀初頭の作品だ。こちらも床の模様に遠近法が使われている。

聖職者席は18世紀後半の作品で、「巨人に支えられる説教壇」は1715年の作品だ。説教壇を支える巨人は1本の木で彫られており、じつに素晴らしい木製オブジェだ。  

▼サン・モーリス教会

【サン・モーリス教会(EGLISE SAINT MAURICE)】

・住所:Rue Saint-Maurice – 74000 Annecy France
・電話:+33 4 50 65 00 45
・開館日:毎日

 

アヌシーは哲学者ジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques ROUSSEAU、1712年-1778年)が青年期(16歳~27歳)を過ごした街としても知られている。ルソーといえば、「社会契約と一般意志なる意志」による政治社会の理想を論じた『社会契約論』の提唱者だ。ジュネーブで生まれたルソーは16歳のときアヌシーにやってきた。若きルソーは、保護者として擁護してくれた年上の美しいヴァラン男爵夫人と恋に落ちてしまう。その二人が出会った司教館は今は音楽学校となっていて、中庭にルソーの胸像が置かれている。哲学者のルソーは、若かりし頃、音楽家として生きる道を志したこともあったそうだ。 

▼ルソーの胸像

 

中世の面影を今に残すアヌシーの旧市街を後に湖へと向かい、湖畔の散歩道を歩きながら、ヨーロッパ公園(Jardin de l’Europe)とル・パキエ公園(Le Pâquier)へ。雄大な山々を背景に、ヨーロッパ屈指の透明度を誇るアヌシー湖を眺めながら、広々とした公園で一休み。

ヨーロッパ公園とル・パキエ公園は小さな橋で結ばれている。その名も「恋人たちの橋(Pont des Amours)」。恋人たちが橋の上で抱擁を交わし、愛を誓いあうデートスポットとして大人気。

湖畔にはクルーズ船や小型ボートが停泊していて、バカンスの雰囲気が漂う。お天気が良い日は、アヌシー湖クルーズがおすすめ。対岸のタロワール村まで船で渡ることもできる。ただし、クルージングは冬季(12月~2月)休業となるので確認が必要だ。 

▼アヌシー湖畔

 

お食事処には困らないのがアヌシーの町。どこに入っても当たり外れが少ないので安心してレストランを選べる。今回のアヌシー散策では、ティウー運河沿いにあるレストラン「ル・ボー・ソレイユ(Le Beau Soleil)」で、サヴォワワインと一緒に郷土料理のタルティフレットを味わった。タルティフレット(Tartiflette)は、炒めた玉ねぎとベーコン、にんにく、茹でたジャガイモを生クリームで和えて器に入れ、サヴォワ特産のルブロション(Reblochon)チーズをのせてオーブンで焼いた料理。胃が破裂しそうなほどのボリュームだった。

サヴォワの郷土菓子といえば「ブルーベリータルト」が有名。残念ながらお腹が一杯でデザートは断念し、カフェグルマンで胃を落ちつかせた(それでも、プチケーキ付きでした)。次回は「ブルーベリータルト」を楽しみたい。 

▼サヴォワサラダ

▼タルティフレット

 【ル・ボー・ソレイユ(LE BEAU SOLEIL)】

・住所:6 Quai de l’Ile – 74000 Annecy France
・電話:+33 4 50 51 68 18
・営業日:火曜日を除く毎日
・営業時間:12:00-21:30
・感染対策:入館者数の制限あり
・セットメニュ:19.80ユーロ~
・サイト:https://lebeausoleil.fr

 

アヌシーの町のあちらこちらで自転車が目に留まった。あまりに絵になる光景だったので写真に収めた。 

▼自転車のある風景

いつ来ても、アヌシーの町と湖は美しい。また来よう。

 

文・写真:マダムユキ(著作権保護により無断複写・複製は禁じられています)

 


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